2013年9月1日(日)の防災の日に、朝日新聞埼玉版「広域避難場所1ヶ所 さいたま市、整備に遅れ」という記事が出ました。
記事では、唯一の広域避難場所の大宮公園を紹介した後に、「~。ところが、大宮公園まで人口最多のさいたま市南区からおおむね10㌔以上離れている。同区は発生確率が最も高い「東京湾北部地震」で最大震度6強の揺れが想定される。災害時の徒歩移動は1時間に4㌔程度とされ、実際にたどりつけるのか課題も残す。」とさいたま市で最大人口を擁する南区の置かれた状況を憂慮してます。
仮に全市民がたどりつけるとしても、120万人以上の人口がいるさいたま市の避難民の全てが大宮公園に集まったとしたら、どうなるのでしょうか。
①「主な大都市の指定箇所数」
他の政令市との比較ですが、このブログをお読みの方はすでにご存じだと思います。
http://parkforkids1.blogspot.jp/2012/11/blog-post.html
なお、記事本文には、120ヵ所を広域避難場所として確保している横浜市の危機管理室のコメントが載っています。
「1970年代から指定を始め、公園、墓地、大学、ゴルフ場など民有地を含め確保している。市内どこからも1時間以内で到達できる」というもので、市民の生命にかかわる問題ですから、当然のようにきちんと対策をしていますね。
一方、さいたま市は、危機管理部防災課も南区の区役所も、http://parkforkids1.blogspot.jp/2013/04/blog-post_13.html←ここに書いたように、そもそも住民の人数と収容所の定員の把握すらしていません。
このことは、小見出しの「県営大宮公園 収容人数も定めず」でも批判されていますね。
同じ政令市でも、災害対策に大きな開きがあるようです。
②「広域避難場所」の解説
「一時避難場所が危険になった時、集団で避難してくる人々を受け入れる。」
「国の基準では10㌶以上が必要とされている。」
と書かれています。
http://parkforkids1.blogspot.jp/2013/04/blog-post_13.html
また、上のブログで書いたように、一時避難場所に避難できる期限は(備蓄食料の関係で)たったの3日のみで、それから先は、広域避難場所以上の場所に設置される仮設住宅等へ移動しなければなりません(しかし、さいたま市には大宮公園しか…)。
③「東京は基準を緩和」
東京23区では、「一部に5㌶以上と基準を緩和したものも含める」(都防災都市づくり課)にしても、197ヵ所を確保しています。
さいたま市においても、「南区には10㌶の避難場所を2箇所設置したいが、現状では無理だ。だから、5㌶のものを4カ所設置する」などの弾力的な運用をすればいいと思います。
④県内の越谷市は10か所を指定済み
http://www.city.koshigaya.saitama.jp/kurashi/shobobousai/saigai_sonae/koshigayashibousaimappu.files/chizumenn.pdf
越谷市は約33万人で10か所。
さいたま市は約120万人で1ヶ所。
⑤さいたま市の防災課のコメント
「市防災課の担当者は『旧市時代から大規模な炎症に対する切迫感がそれほどなかった。国の基準を弾力的に運用し、早急に指定箇所を増やしたい』と話す。」ということです。
「早急に指定箇所を増やしたい」というコメントがどのように実行されるかをチェックする必要があるはずです。
最後に記事は「市によると、最初に逃げ込む小規模の一時避難場所は84ヵ所指定しているという。」で締めくくっています。
「一時避難場所が84ヵ所もあれば安心だ」とお感じですか?
すでに書いたように、一時避難場所には三日しかいられませんし、大阪の「大阪市民のかたへ」http://www.city.osaka.lg.jp/kikikanrishitsu/page/0000012054.html の避難場所の解説ページによると、大阪には約1350か所の一時避難場所が整備されています。
避難場所の確保は、震災直後から住民の生命にかかわる問題です。
関東大震災から90年、東日本大震災のから2年が経過しています。
今までの実績を見ると、市民はさいたま市に厳しい目で接するべきだと思います。
その時になって「遅すぎた」と嘆くことのないように。