2015年6月9日火曜日

さいたま市だけ、「目標」の不思議

地域主権改革の一環として、それまで都市公園法で定められていた公園関係の数値が平成23年からは、各地方自治体の条例で設定されるようになりました。

他の政令市や、埼玉県内の主要都市の公園関係の条例を見ると、一人当たりの公園面積について、一般に都市公園法施行令の「標準」という言葉が使われていますが、さいたま市都市公園条例だけ、「目標」という言葉が使われています(下表参照)。

標準という言葉は、「DVDの次の業界標準規格はブルーレイだ」のように、それから外れると使いものにならないという意味で強い拘束があります。
条例で「標準」を採った自治体は公園面積の増加に向けて年間計画を立てるなどの必要性が出てくるでしょう。

一方、「A中学バスケ部は県大会出場を目標にガンバっています」のように、目標は実現を目指す水準を示すために使われます。
これでは「公園を作るのを目標にして頑張ります。結果にコミットしません。」と言えそうですが…。

そこで、目標標準で違いがあるのではないかと、さいたま市都市公園課に質問したところ、「特に違いはない」という返事がありました。
それならば、さいたま市南区の一人当たり公園面積が、目標標準の実質3分の1程度しか整備されていないのですから、中期・長期の計画を立てて、不足する57ヘクタールを確実に充当していくべきです。


政令市の都市公園関係の条例一覧


政令市一覧公園関係の条例での文言サイズ
※都市公園法施行令
(条例の元になった政令)
標準(1条の2)市町村全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
札幌市標準(2条)全体で13㎡/人 以上
市街地で10㎡/人 以上
仙台市標準(2条)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
さいたま市目標(1条の2)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
千葉市標準〈1条の3)全体で10㎡/人 以上
市街地で8㎡/人 以上
横浜市標準(3条の3)全体で10㎡/人 以上
川崎市標準(2条の2)全体で10㎡/人 以上
相模原市標準(2条)水とみどリの基本計画で設定
(平成31年までに6.3㎡/人 以上)
新潟市標準(2条の3)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
静岡市不明緑の基本計画の長期目標に
22.3㎡/人 以上とあり
浜松市標準(2条)全体で10㎡/人 以上
市街地で8㎡/人 以上
名古屋市標準(3条の2)全体で10㎡/人 以上
京都市基準(1条の2で施行令・標準を引用)都市公園法施行令と同等
大阪市標準〈2条の3)全体で5㎡/人 以上
堺市標準(4条の2)全体で10㎡/人 以上
神戸市明記なし(1条で施行例・標準を引用)都市公園法施行例と同等
岡山市不明緑の基本計画で、公園・緑地などの
確保量を20.6㎡/人 としている
広島市不明不明
北九州市標準(3条の2)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
福岡市標準(3条の3)全体で10㎡/人 以上
熊本市標準(1条の3)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上



埼玉県内の主要都市の一覧

近隣市の一覧公園関係の条例での文言サイズ
さいたま市目標(1条の2)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
川口市標準(4条)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
蕨市標準(1条の2)全体で5㎡/人 以上
川越市標準〈1条の3)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
戸田市標準(1条の3)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
上尾市標準(2条)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
越谷市標準(1条の2)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
熊谷市標準(1条の3)全体で24㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
所沢市標準(1条の2)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
春日部市標準(1条の3)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
秩父市標準(4条)全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
狭山市標準(1条の3)市町村全体で10㎡/人 以上
市街地で8㎡/人 以上
志木市標準(2条)全体で10㎡/人 以上
和光市標準(3条)市町村全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上
新座市標準(4条)市町村全体で10㎡/人 以上
市街地で5㎡/人 以上




2015年6月2日火曜日

公園遊具の撤去が、さいたま市に集中!


子どもたちがのびのび遊べる公園を探して「埼玉県」「アスレチック」で検索したときに、「公園へ行こう」というホームページがヒットしました。

この中で、さいたま市の公園の「遊具」が「撤去」されたという記述が目立ったので、カウントしたところ、埼玉県内と近隣の県外の公園の中に、遊具が撤去されたという記述は5件あり、4件がさいたま市内の公園の遊具でした

HP内の記述順に書き出します。
その下に、2,大崎公園と、4,彩湖公園については、自分で撮影した写真があるので、遊具の撤去前と撤去後の写真を並べてみました。


1,岩槻文化公園(さいたま市岩槻区)
木製の大型遊具とローラー滑り台が撤去

2,大崎公園(さいたま市緑区)
宇宙ステーションが撤去

3,市民の森・見晴公園(さいたま市北区)
小さな遊具(アスレチックとは言わない?)が撤去

4,彩湖公園(さいたま市桜区)
大きなクワガタの遊具が撤去

5,伊奈町 町制施行記念公園〈伊奈町)
フィールドアスレチックコースが全て撤去


彩湖公園の遊具の変遷

市の職員の犯罪行為によって整備が滞っている彩湖公園ですが、かつて存在したクワガタの遊具(足が多いので、僕は大グモの遊具だと認識していました)は、下の写真のとおりです。

2007年3月23日撮影 @彩湖公園
2006年12月2日撮影 @彩湖公園

2005年8月28日撮影 @彩湖公園
 上の三枚以外にも、このクワガタの遊具で遊ぶ姿が(バッタ・カマキリの遊具よりも)いちばん多く撮影されていましたので、子どもたちにとってこれがお目当ての遊具であったことは明らかです。
2015年5月5日撮影 @彩湖公園
これが、市の職員の談合の後に、下のような小さな遊具にグレードダウンしています

2015年5月5日撮影 @彩湖公園

上の二枚が小さいので全体を撮れていないのかと思い、
さいたま公園ナビで確認しましたが、このサイズで間違いありません。

消えた大崎公園の宇宙ステーション

大崎公園の宇宙ステーションがいつの間にかすっかり更地になっていたのには驚きました。
園内には、子供向けの大型遊具が新設されていましたが、写真で比べてみても、宇宙ステーションとは規模が違います。

2006年4月2日撮影@大崎公園

2006年4月2日撮影@大崎公園
2006年4月2日撮影 @大崎公園
以上が撤去前の宇宙ステーションです。
下が撤去後の様子です。
2015年5月6日撮影 @大崎公園
宇宙ステーションの跡地はこの辺りだと思います。更地になっています。

2015年5月6日撮影 @大崎公園
宇宙ステーションの代わりなのでしょうか、12才までの子供向けの遊具が新設されていました。

行政サービスの低下をみると、さいたま市では急激な過疎化が進んでいるかのような錯覚を感じます。
しかし、さいたま市の人口は増加を続けています。
公園を管理する市職員の公文書偽造や談合事件などの数多くの犯罪と、公園整備の低下が無関係とは思えません。

市民や市議会の市政への厳しい監視が欠かせません!!

荒川彩湖公園の官製談合事件まとめ

地元でカマキリ公園という名前で親しまれている彩湖公園の遊具の改修工事で、さいたま市南部都市・公園管理事務所の職員が逮捕・起訴された事件をまとめます。

さいたま市南部都市・公園管理事務所の市職員の不祥事についてはすでに「さいたま市職員の不正と百条委員会設置を新聞記事で追う(2012年10月、11月の記事から)」で当ブログで取り上げています(1年で公文書偽造318件の疑惑)。

これらは、旧浦和市時代からの市の体質であり、このために市内の公園整備が遅れ、子どもたちが迷惑を被る原因となった、大きな問題です。



事件の概要

平成21年と22年彩湖公園の老朽化した遊具を取り替えるためにさいたま市が業者に工事を発注した。

→ しかし、約2千万円を受領した業者が、工事をしなかった

→ そして、官製談合防止法違反罪などで、さいたま市南部建設事務所主任が逮捕・起訴(㍻27年2月26日に懲役2年6ヶ月、執行猶予4年、追徴金49万8750円の有罪判決@さいたま地裁)された。

さいたま市は談合相手の業者に対して、平成21年度分の工事費997万5千円と、20年度分987万円の、計1984万5千円を請求した(平成26年の年末まで未返還

問題点


1、2千万円の規模の工事に対して、捜査関係者が「市がなんで分からなかったか分からない」とひと目で分かる偽装工作を見抜けなかったさいたま市の管理体制の甘さ

2、2012年の百条委員会騒動では1年で318件の公文書偽造疑惑が出ました。もはや、旧浦和市から引き継がれた談合体質
有罪判決が下った主任のフェイスブックです。
「でっち上げ」を公言してます。
まともな感覚ではこんなことはできないはずです。
3、北区選出の吉田一郎市議のレポート(2014年12月号3面)に、2012年の百条委員会の経緯が書かれています。
「(前略)ところが、自民・公明・民主・共産などの各政党・会派は、事前に「全会派を代表して、高橋勝頼議員だけが質問することにしよう」と申し合わせ、臨時議会はたった1時間で終了。田崎容疑者が自ら書き込んだ「でっち上げた書類」については、追求しないままでした。」
このような、市議会のチェック体制の甘さも、談合体質を温存する原因だと思います。

さいたま市は公園費用として年間に50億円前後の税金を使っています。
しかし、実際に用地取得や公園整備に使われた額が何割になるのかは、分かったものではありません。
現に、埼玉県と周辺の公園ガイドをしてくれるホームページの公園一覧を見ると、さいたま市の公園にのみ、「遊具撤去」の文字が見られます。
人口増加が進む政令市の遊具ばかりが撤去されている事実と、今回の談合事件の因果関係を明らかにすべきです!

2015年4月18日土曜日

笹目川最上流域の有効利用を!

笹目川は、昭和期に開削された人工の川です。

この川は、さいたま市内の武蔵浦和駅近くの白幡沼を源泉として、北戸田駅周辺まで埼京線の東側に沿って南下し、戸田市に入ると、埼京線から西に離れて南下し、ボートレース戸田のそばで荒川に流れ込む総延長5.11kmほどの河川です。


このブログでは、

一、笹目川の開削時期の検証 ~「戸田市史研究」と古地図を読み解く~
二、笹目川最上流域の現状 ~武蔵浦和周辺の笹目川は細いどぶ川にすぎない~
三、笹目川区域の活用の提言 ~戦前は農業のため、現在は住民のため!~

の順で、笹目川最上流域(白幡沼~白幡堰)を活用した武蔵浦和駅周辺の公園不足対策を提案します



一、笹目川の開削時期の検証 ~「戸田市史研究」と古地図を読み解く~


☆笹目川は昭和10年に、排水と農業用水路として掘られた人工河川である☆

1、「戸田市史研究」より

「戸田市史研究」8に笹目川の開削工事の記述があります。
P.66に「この中央排水路は、排水路としての目的の他に、水田の灌漑用水を確保供給することもその目的のひとつとされた。そのため、下流部に谷口堰(笹目村谷口地区)、中流部に美女木本堰(美谷本村美女木地区)、上流部に白幡堰(六辻村白幡地区)を設置して、排水兼用水路として整備された。」との記述があります。
白幡沼を水源としたものの、それだけでは農業用水としての安定した水量が確保できないため、数カ所の堰から注入せざるを得なかった模様です(今回取り上げた場所は、白幡堰よりも更に上流で、最初から水量が少なかったと言えます)。
現在、さいたま市南区と戸田市が住宅地と変貌を遂げたことから、水田の灌漑用水としての用途は無くなっており、笹目川は排水機能のみに留意するべきであると言えます。
P.67には笹目川開削工事(昭和10年)の注入りで工事の様子を写した写真が載っています。笹目川の工事に関連した公文書類は昭和22年10月の埼玉県庁の火災ですべて焼失したようなので、この写真も工事の日程を確定する一つの証拠になると思います。

2、「古地図」より

また、「地図で見るさいたま市の変遷」(さいたま市の古地図)を見ると、Ⅰ(1885年・明治18年)~Ⅲ(1929年・昭和4年)の三つの地図からは、白幡沼から流れ出る川は記載されていません


同様に、1945年(昭和20年)12月に作成された戦災概況図(復員帰還兵に向けた地図)にも笹目川は記載されておりません。





二、笹目川最上流域の現状 ~武蔵浦和周辺の笹目川は細いどぶ川にすぎない~

☆笹目川最上流域は細いどぶ川で、河原は立ち入れない荒地。公的な管理計画からも外れている☆

まず、現状を写真で確認し、次に公的資料を確認します。

1、現状の確認

武蔵浦和駅南東側の笹目川最上流部(赤線部)
 グーグルマップより
人口排水路の笹目川は、最上流部であるさいたま市内では年に数度の草刈りをされる以外は荒れ地になっています(全域が柵により立ち入りできず)。
また、下の写真のように、白幡沼から1キロ程度の部分は、大雨警報が出された後でも、水量の変化はあまり見られなくなりました。
2014年6月8日18:28
大雨警報の出された後の様子を撮影@瓶尻橋
同時刻に、瓶尻橋から戸田方面に向けて撮影












2014年7月3日 中曽根橋より 草刈り前の様子

同時刻に、瓶尻橋から白幡沼方面に向けて撮影


2014年9月27日 白幡橋より 草刈り後の様子

2015年1月24日に戸田市内の富士技研工業第二倉庫脇で撮影しました。
同じ笹目川でもずいぶん違います。
これなら「暗渠化」は思いつきません。

2、公的資料より


国土交通省の荒川下流河川事務所の笹目川浄化導水事業の資料から

まず、リンク先のpdfファイルの一ページ目に、「また、笹目川最上流部約1kmの区間は、常時の流量が極めて少ない状況にあります。」と記述されています。

北から南に向けた写真。
右に埼京線、正面が外環自動車道。
写真は白幡堰よりも下流で、「最上流部約1kmの区間」ではありません!


また、リンク先のpdfファイルの三ページ目には、笹目川浄化導水事業の地図がありますが、計画範囲は、左端の荒川と合流する部分から右端の内谷橋までに限定されており、最上流部分は除外されています。







三、笹目川水源区域の活用の提言 ~戦前は農業のため、現在は住民のため!~

☆子どもたちの遊び場と住民の避難場所が、現在のあるべき姿☆

笹目川最上流地域は、公園整備がさいたま市都市公園条例の目標とする数値の426分の1以下にとどまっています
この区域の活用について、
1、暗渠化等による公園面積の増加 と、
2、サイクルシティさいたま計画 をリンクさせた活用法を提言します。

1、暗渠化による公園面積の増加

笹目川最上流地域は、地図上左岸(西側)が白幡5丁目、同右岸(東側)が白幡4丁目と6丁目です。
平成26年12月1日のデータでは、4丁目に4618人、5丁目に2299人、6丁目に2626人の計9543人が在住しています。
さいたま市都市公園条例1条の2で、4.77ha(47715㎡)の公園が整備されることになっていますが、実際には白幡5丁目公園0.0112ha(112㎡)(リンク先の15番目の公園)しか整備されていません。
これは、ルールの426分の1です!
この地域の中央に位置する笹目川最上流地域を公園として活用すべき必要性は極めて高いと言わざるを得ません(いつまで子どもたちを公道やマンション廊下で遊ばせておくつもりですか)。

和泉川は笹目川と違って自然河川ですが、必要に応じた活用がされた例として、参考になると思います。
笹目川の最上流部分の幅は、18m~24mもありますから、児童公園エリア、ボール遊びエリア、川遊びエリア、自然保護エリアなど、必要に応じた整備をして、住民の憩いの場として活用すべきです。
また、関東大震災で被害の多かった地域に9,500人以上の住民が居住しているにも関わらず、避難場所が一カ所も整備されていないという異常事態も、この土地を活用して改善すべきです。
現在のように立ち入りが出来ない荒地のままにしておくのはあまりにもったいないと思います。


2、サイクルシティさいたま計画との関わり

荒川サイクリングロードは、東京の葛西臨海公園から埼玉の森林公園や熊谷を結ぶ人気のサイクリングコースです。
私自身は小5の夏にこのコースを北上して川島町の鳥羽井沼(とばいぬま)に行って以来、森林公園や川越市街地までたびたびサイクリングを楽しんでいます。

さいたま市自転車まちづくり推進課のパブリックコメントに「サイクルシティさいたま計画」として出した意見の一つの柱が、「さいたま市内をサイクルスーパーハイウェイ(自転車道)で網羅する」ということでした。
下図は、自転車まちづくり推進課の資料に赤線で荒川、青線で笹目川を追加したものです。

サイクリストで賑わう荒川サイクリングロードは、さいたま市の西端をかすめるだけですし、途中に魅力的なスポットなどはほとんどありません。
そこで、笹目川をさいたま市内自転車道への重要な導線と位置づけ、戸田市と協力して笹目川の整備を進めて、さいたま市内に観光スポットやカフェなどを整備していけば、多くのサイクリング愛好家を市内に迎え入れることが可能になると思います。

まとめ

笹目川流域は、昭和初期は田んぼに囲まれた地区でしたから、ここを開削して川を作り、農耕のために活用したのは賢明な判断でした。

時は流れ、現在、この場所は市内最大の住宅地となり、公園・避難場所を確保することが地域の緊急の課題になっています。
しかし、地域の住民にとって大切な場所が、たまに草刈りをするが立ち入りはできないままで放置されています。

住民と行政が知恵を出し合い、時代の必要に合わせて土地を最大限に活用していきましょう!!

2015年2月28日土曜日

わらびりんご公園

わらびりんご公園 

所在地 蕨市錦町6丁目 

大きさ 0.28ha 

対象年齢 未就学児~小学生(大人向け健康器具もあり) 

おすすめポイント! 小高い山の滑り台は子供に人気! 



大きさとしては、辻小学区内最大の鉢木公園内谷中学区内最大の内谷橋公園と似たようなものですが、利用できる層を考えるとさいたま市の両公園整備の方が劣っています。

さいたま市南区の公園枯渇エリアの公園整備では、地域の特性に配慮して、より多くの利用者層を受け入れる工夫が求められるのは当然です。


特に大きいわけではありませんが、
小学高学年でも思い切り走り回れます。
幼稚園児から小学高学年まで一緒に遊べます。




他の公園でもよく見かける遊具です。

独特の形状をしているためか興味を引くようで、しばらく遊べます。
わらびりんご公園応援サイトには、「公園は子供だけのものではない、大人も楽しめる、そしてりんごの成長を楽しめるというコンセプトをもった公園だけに、多くの訪問客が訪れるでしょう。」という好意的な文章が記されていました。


2015年1月14日水曜日

「(仮称)さいたま自転車総合利用計画 自転車まちづくり大綱(案)」に提言を出しました。

さいたま市の自転車まちづくり推進課が自転車総合利用計画への意見を公募していたので、提言を出しました。

正月に茨城県の教育関係で行政の仕事もしていた岳父と話をしたときに、「小学生・中学生の時代は、その子にとってかけがえのないものだから、行政もそれを尊重しないといけない」と言われました。

さいたま市南区の公園整備が大幅に遅れていて、子どもたちが外遊びがしづらい状況におかれています。
しかし、自転車道でルートを明示して、「2キロ先に行けば別所沼公園があるよ」とか「戸田のボール遊び広場はこのルートで行けるよ」と誘導してあげれば、現在の公園資源をフルに活用できるのではないでしょうか。

「これから50年かけて内谷中学区に20ヘクタールの公園を作ります」では、今の子どもたちには何も届かないのです。
どうせやるなら、ワクワクするような街づくりをして、子どもたちには公園が無いことに気付かずに成長してほしい。
さいたま市には日本における自転車まちづくりのさきがけになって欲しいと願って、提言を出しました。

以下の長文ですが、文字数制限にかかったので、半分ずつ提出しました。




(文字数制限を超えたので、(1/2)と(2/2)の二通で提出させていただきます。)


さいたま市役所 都市局 都市計画部 自転車まちづくり推進課 自転車政策係 御中

さいたま市の自転車総合利用計画について、ご意見を申し上げます。

「サイクルシティさいたま」実現に向けたご提言

2015年は、さいたま市の自転車利用の機運を盛り上げるために極めて大切な年です。
なぜなら、今年はさいたまクリテリウムが始まって2年が経過し、2019年ラグビーワールドカップと2020年東京オリンピックまで4,5年を残す年だからです。
ですから、今からさいたま市がやるべきことを成果として積み上げていけば、さいたま市の可能性を無限に引き出すことができるし、そうしなければ、自転車部門で他の自治体の後追いをするだけにとどまるでしょう。
大河ドラマで話題の吉田松陰の言葉に、「なにごとも ならぬといふは なきものを ならぬといふは なさぬなりけり」とあります。
やっておおきな成果を引き出すか、やらないで何も成し得ないかは、さいたま市の姿勢次第です。


以下、
(1)さいたまサイクルスーパーハイウェイ(SCS)
(2)レンタルサイクール
(3)さいたまブランド自転車・SYCOOL(埼涼)
を三本の矢として提言いたします。


(1)さいたまサイクルスーパーハイウェイ(SCS)計画

2019年にはラグビーワールドカップ日本開催(サッカーワールドカップやオリンピックに次ぐ世界規模の大会。激しいスポーツなので日程に余裕があり、観客の滞在日数が長いのが特徴)、2020年には東京オリンピックが開催されます。
ラグビーワールドカップでは熊谷ラグビー場が会場に立候補し、東京オリンピックでは埼スタ2002でサッカーの試合が行われる等の予定になっていますから、相当数の観光客が見込めます。

ですから、自転車環境の整備においてさいたま市が学ぶべきは、2012年オリンピック、2015年ラグビーワールドカップの直前に、ボリスジョンソン市長が「カーレス・オリンピック」を宣言して、独自の自転車政策を断行したロンドンです。

ロンドンの自転車政策の一つの目玉が、「サイクルスーパーハイウェイ」です。
自転車道の整備で心がけるべきは、「一部の区間に自転車道なり自転車レーンなりを敷設しても、見向きもされない。」(秋山岳志「自転車が街を変える」集英社新書 P.185)ことです。
武蔵浦和駅に数十メートルの自転車レーンがありますが、あれでは地元の人間でも気づきもしません。

さいたま自転車まちづくり大綱P.14の地形の平坦性に加えて、さいたま市には新方川・元荒川・綾瀬川・芝川・鴻沼川・鴨川・荒川と、実に多くの河川が南北に流れているというメリットがあります(川沿いのサイクリングは快適です)。
これらの河川に沿ってSCSを設定した上で、東西に通る主要道にSCSを整備すれば、区を越えた移動が楽になり、サイクリングも市内で十分に楽しめるようになるでしょう。

また、戸田市と南区を結ぶ笹目川は、葛西臨海公園から熊谷を結ぶ「荒川サイクリングロード」と接しているので、戸田市と協力して笹目川にも自転車レーンを設定すれば、都内からのサイクリストをさいたま市内に誘導することができます
荒川サイクリングロードでは、まだカフェやグルメスポットの整備は進んでいませんので、開拓する余地が十分にあると思います。
私自身も東松山の森林公園などへサイクリングすることがありますが、サイクリングロードはただひたすら河原やゴルフ場が広がっているという印象で、秋ヶ瀬公園から森林公園までで、寄りたいスポットは榎本牧場くらいしかありません。

すでに御課でも把握されているとは思いますが、SCS整備のためには、既成の行動に1m程度の自転車レーンを塗装することと、標識を設置すること(古倉宗治「成功する自転車街づくり」P.121,122)で足ります。
「歩道走行により事故の確率が高くなる」(日本交通法学会「自転車事故に関する諸問題」有斐閣 P.6)のですから、自転車用レーンは、事故防止にもつながります。
ですから、大きな絵を描いて早急に自転車レーンを設置して行くべきです。


(2)レンタサイクール

(名前は、(3)のさいたまブランド自転車をコミュニティサイクルとして活用すべく、愛称を考えたものです。)

ロンドンの自転車政策の二つ目は、オリンピック開催2年前の2010年に開始したシェアサイクル(ボリスジョンソン市長の名前を取って「ボリスバイク」とも)です。
特筆すべきは、400以上の24時間利用可能なドッキングステーションが設置され、移動先のステーションに返却できることです。

さいたま市なら、まず、JRや私鉄の駅全てにチャリンク・ポート(自転車で地域をリンクさせる意)を設置すべきでしょう。
それから、SCSで結んだ公園や観光スポット、スポーツ施設などにもチャリンク・ポートを設置します。
そうすれば、駅でレンタサイクールの利用を開始し、各所を巡ってから、任意のチャリンクポートに返却するという形での利用者が見込めると思います。

ロンドンのボリスバイクは、初期登録料が1ポンドで、30分以内に返却すれば無料、60分以内なら1ポンド…という料金です。
おすすめコースなどを随時発表してメディアにもアピールするなどして、SCSとレンタサイクールを併用したさいたま市内観光を推進できれば、市外からサイクリングを楽しむ観光客を呼び込むことが出来ると思います(地場野菜を利用したカフェなども話題を呼ぶのではないでしょうか)。

さらに、他の市町村や都道府県にチャリンクポートを設置できると、さいたま市民のレンタサイクール利用も増えるはずです。
例えば、川越の駅前にチャリンクポートがあれば、我が家(夫婦と小学生と中学生の子どもがいます)でも、片道20キロ程度の道のりを荒川サイクリングロードを経由して川越駅前観光をして、帰りは自転車を川越駅前のチャリンクポートに返却して、鉄道を利用して戻ってくるという休日の過ごし方も可能になります
このルートは、僕1人で折りたたみ自転車で往路を移動し、復路を電車で輪行したことがありますが、家族で楽しめたら、なお楽しいと思います。
越谷レイクタウンも20キロ程度、森林公園なら40キロ程度、往復しなければならないとなると、きつくなりますが、片道なら楽しめる家族も多いと思います。


(3)さいたまブランド自転車・SYCOOL(埼涼)

「自転車が街を変える」(秋山岳志 集英社新書)の192頁に、2012年にイギリスのキャメロン首相が野田総理にお土産に持参したものが自転車(ブロンプトンというイギリスのブランド、総理の名前の刻印入り)だったとあるのを読んで、ドキリとしました。
僕自身、通勤用のクロスバイクと、レジャー用の折りたたみ自転車を所有していますが、どちらも海外のブランドです。
埼玉県には丸石サイクルや丸金自転車などの有名自転車メーカーがあり、オリジナルブランドのロードバイクも作っていますが、他社製品も含めても、僕自身が国産のスポーツバイクの購入を考えたことはありませんでした。

2014年には、埼玉県の自転車出荷台数が全国でトップになっています。
ですから、市と県で手を組んで、SYCOOLブランドを育てていくのは夢物語でもないと思います
それほど規模は大きくはありませんが、トーキョーバイクというブランドがあります。
大人向けですと、29000円-68000円のスポーツバイクを販売しています。
SYCOOLブランドで、3万円・5万円・7万円の三つの価格帯で「ちょっと高いけど、乗れば明らかに違う」ようなスポーツバイクを展開するなど、アピールはいろいろとできるのではないでしょうか。
クリテリウム関係で市長が渡仏するときに持参して、喜ばれるような品質の製品を目指すべきだと思います。

SCS等のサイクリングロードは、ママチャリでなく、スポーツサイクルなら、行動半径が大きく広がります。
「「ママチャリ以外の自転車」に乗ってみるのだ。そうした自転車は、どんなジャンルであれ、自転車本来の性能を持っている。誰がペダルを踏んでも、時速二五kmが不通に出る」(疋田智「快適自転車ライフ」岩波アクティブ新書P.35)ものです。
時速25キロですと、サイクリングロードで2時間進めば50キロ先に移動できます。

震災発生時に活用することを考えれば、パンクしにくいなどの工夫も欠かせません。


以上が、今回の三本の矢として提案させていただいた内容です。


最後に、災害、公園不足、高齢者の健康促進への所見を述べさせていただきます。
(2/2へ続く)

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(2/1からの続き)
さいたま市でも大規模地震災害が想定されていますが、1923年の関東大震災でさいたま市内で特に甚大な被害の発生した武蔵浦和駅周辺には、人口増加が続く中で避難場所はほとんど増設されていないため、震災が発生した時には大きな混乱が予想されます。
このように、在住人口と避難場所の収容数を比較して対策の遅れている地域では、SCSとレンタサイクールを、避難経路と移動手段の確保という面も持たせて整備していく必要があります。

武蔵浦和駅に近い内谷中学には県内で最大の生徒数が在籍し、学区内に4万人以上の住民がいますが、公園整備はさいたま市都市公園条例の設置目標の20分の1以下と、ひどい状態です。
1月12日(月・祝)に中1の長男が沼影市民プールの「のびのび広場」にバスケをしに行ったところ、学区内で唯一ボールができる「のびのび広場」が無料駐車場として使用されていたために、グループで戸田市の公園まで移動したそうです。
公園不足地域では、SCSを通って安全に公園まで誘導してあげる必要性は極めて高いです。
また、戸田市は震災発生時に、さいたま市方面に避難する計画を立てているものの、具体的な避難場所は明確にできないでいます。
南区の子どもたちは、公園以外にも、図書館やスポーツセンターなどの戸田市の施設を利用させていただいているのですから、震災発生時には戸田市民の方にもSCSの避難経路の利用を促してあげるべきです。
さもなければ、いざというときに、戸田市民はただ闇雲に南区に逃げ込んでくることになり、大混乱になるでしょう。

次に高齢者の健康促進対策についてです。
自転車まちづくり大綱P.41にあるように、高齢者の事故は、発生率は高くないが、重症以上の被害を受けやすいことが分かります。
ですから、倒れにくい自転車の活用や、ヘルメット利用普及など、できる策を積極的に採用していただきたいです(古倉宗治「実践する自転車まちづくり」学芸出版社P.128以降に詳しい)
近所に住む70代の両親は、さいたまクリテリウムの応援には行きましたが、サイクリングを楽しむ習慣はありません。
理由の一つは、自転車で気軽に行ける魅力的な目的地がないことだと思います。
SCSで各区の名所を自転車で巡れるようにして、高齢者の健康増進にもつなげていただきたいと思います。



今回提案申し上げた「サイクルシティさいたま」のサイクル(cycle)は、「自転車に乗る」以外に、「循環する」や「輪」の意味があります。
子どもたちから高齢者まで、世代を超えた人々が自転車でさいたま市内を巡る。
そして、ここで成長した子どもたちが、さいたま市で子育てをして、やがて年老いていく。
こんなふうに、空間・時間軸の両方で人々が循環していってほしいという思いを、「cycle」という言葉に込めました。

これから、自転車が街やライフスタイルを変えていく時代になるので、さいたま市にはそのモデルになる気概を持って、自転車まちづくりに取り組んでいっていただくことを期待しています。
その結果、たくさんの人々に「さいたま市に住んでいていよかった」「さいたま市にぜひ住みたい」と思われて、さいたま市のブランド力も向上していくはずです。



藤原俊裕